Swiss Light Source 測定サービス
年間を通してX線結晶測定を可能に
Swiss Light Sourceは、2025年7月まで
アップグレードのため運転休止中です。
2024年は、ESRFのご利用が可能です。
(詳細は今後アナウンスいたします)
スイス連邦工科大学関連機関パウル・シェラー研究所(Paul Scherrer Institut)が運営する放射光施設「Swiss Light Source」と契約を締結し、認定サービスプロバイダーとしてX線結晶測定サービスを開始しました。
日本の放射光施設が運転停止する8~9月にSLSのビームタイム(測定割当時間)を毎週確保することで、年間を通して国内創薬研究者の測定ニーズにお応えします。
利用ビームライン:SLS Macromolecular Crystallography Beamline
注:この性能諸元は、SLSアップグレード前のものです。2025年8月から稼働予定のSLS2.0では、タンパク質構造解析関連ビームラインも全て新設されます(以下は、以前ご利用されたお客様向けの参考情報として掲載を続けております)。
ビームラインは、PXI (X06SA) または、PXII (X10SA) を使用いたします。詳細は以下表をご覧ください。
PXI(X06SA)およびPXII(X10SA)ビームラインの大きな特徴は、優れた①ビーム強度、②スループット性、③自動データ処理機能に挙げられます。
①のビーム強度に関しては、SPring-8 BL45XU[ビーム強度:1.0 × 10^12 〜 2.0 × 10^13 (photons/s @1 Å) ]と同程度の強いビーム強度[>2 × 10^12 (photons/s @1 Å) ]を有しています。これにより、大型放射光施設SPring-8と同程度のX線回折データをお客様にご提供することが可能です。
②スループット性に関しては、1シフト(8時間)のビームタイムで9つ以上のUni-Puckの結晶(9 puck×16 pin=144個)の回折データを取得することが可能です(1結晶あたりの測定時間は約3.5分)。この高いスループット性により、お客様に短期間(納期2~3週間)でデータをご提供することが可能です。
③自動データ処理機能では、X線回折データを収集すると同時に、ビームラインに搭載された自動処理ソフトにより構造因子Fデータの計算を行います。ここで得られる構造因子Fデータは、らせん軸判定を含む最終的な空間群として処理されるため、分子置換法等の初期位相決定にすぐに使用することが可能です。また、分子置換法でお使いになるサーチモデルのPDB情報をご提供頂くことで、分子置換法による初期位相決定および電子密度計算まで、自動処理することも可能です。複数の回折データのマージ処理、自動データ処理機能でうまく処理できない難しい結晶の場合等でお困りの場合は、経験豊富な当社研究者によるマニュアルデータ処理を行いますので、別途 AgroBox No.5 をご利用ください。XDS、Xia2等のX線回折データ処理ソフトウェアを利用し、回折データの選択、同サンプルデータのマージなどを実施します。この作業により、統計値が優れた構造因子Fデータをご提供することが可能です。
PXI(X06SA)、PXII(X10SA)ビームラインの自動測定プロトコルでは、SPring-8やPhoton Factoryと同様に、低線量のX線を用いた2次元スキャンにより結晶位置の同定を行い、最も強い回折像を与えた結晶部分をX線照射位置として、結晶の空間群に応じた角度分(180~360°)の回折データ収集を行います。大きな結晶のデータ収集に有効なヘリカル測定、LCP結晶をはじめとした小さな複数結晶のデータ収集に有効なマルチ測定は、本ビームラインの自動測定では行えません。ヘリカル測定およびマルチ測定をご希望される場合は、追加で AgroBox No.4 をご購入頂くことにより、当社スタッフによるリモート実験によるデータ収集が可能です。