AgroBox No.2(結晶化条件最適化)
結晶の質を向上させる
1. 二次結晶化スクリーニングおよび結晶観察
AgroBox No.1の一次結晶化スクリーニング条件をもとに、さらに詳細な条件検討を行い、結晶の質を向上させます。一次結晶化スクリーニングだけでは、ほとんどの場合は質の良い結晶を得ることができません。そのため、より詳細な結晶化条件を検討する二次結晶化スクリーニングを行う必要があります。一般的には、一次結晶化スクリーニングで多数の結晶化条件で結晶が生成していた場合、どの条件に絞れば良いかの判断がつかず、二次結晶化スクリーニングの量も膨大な数を行う必要があります。結晶の「見た目(大きさや形)」と「質(分解能や結晶性)」は、必ずしも相関しないからです。そのため、間違った選択をすると、三次、四次…とスクリーニングのやり直しを行い続けることになります。
一方、本サービスでは、AgroBox No.1の結晶品質チェック(X線回折のスナップ測定)の結果に基づき、二次結晶化スクリーニングを行うため、効率的かつ迅速な条件最適化が可能になります。これに加えて、当社研究者の豊富な経験に基づき結晶化溶液マトリックス溶液をデザインし、バッファー自動調製システムDragonflyにて溶液を調製するため、極めて高い成功率が期待できます。
具体的な作業は以下の通りです。一次結晶化スクリーニングおよび品質チェックの結果に基づき、当社研究者が1プレート分の96条件の結晶化溶液マトリックス溶液(pH、沈殿剤、塩濃度等)をデザインおよび調製し、二次結晶化スクリーニングプレートの作成と定期的な結晶観察を行います。
この二次結晶化スクリーニングでは、一次結晶化スクリーニング(AgroBox No.1)で見つかった元の結晶化溶液条件(元溶液)のうち、最大で4種類の元溶液の条件最適化を行います(24~96種の周辺条件/1種類の元溶液)。結晶化は基本的にシッティングドロップ法で行いますが、当社研究者の判断でハンギングドロップ法を行う場合もあります。結晶化は、通常20℃で行います(任意の温度をご希望の場合は、別途ご相談ください)。96条件のスクリーニングを行うためには、5 mg/ml以上の濃度のタンパク質溶液が25μl必要になります(0.20μl 分注)。
バッファー自動調製システムdragonfly discovery(SPT Labtech社製)を用いた結晶マトリックス溶液調製
2. 結晶品質チェック(ループ測定/in situプレート測定)
一次結晶品質チェック(AgroBox No.1)と同様に、ループ法またはin situプレート測定法により結晶の質の評価を行います。どちらの方法を使うかは、ビームタイムのスケジュールなどから最短で結果をお返しできる手法を当社研究者が選択いたします。
ループ法の場合、ループを用いて結晶の回収を行った後、結晶を凍結し、SPring-8、KEK/PF、AichiSRの各放射光施設を用いて、クライオ条件下でのスナップショット(結晶を回転させずに1~2点のみ測定)により結晶の評価を行います。※AgroBox No.2~4をご購入の場合は、ループ法にて十分な回折点が得られた場合にフルデータ測定を行う場合があります。
in situプレート法では、KEK/PF・BL17Aビームラインを用いて、結晶化プレートに直接X線を照射します。PF BL17Aは、高輝度 [1.5 x 1011 photons/s (0.98 Å)] かつ、微小なビームサイズ [0.040 mm (H) x 0.016 mm (V)] でX線を照射できるマイクロフォーカスビームラインであるため、in situプレート測定に適しています。
以上の測定から、当社研究者がAgroBox No.3の「フルデータ測定用結晶準備」に進める適切な結晶化条件を選び出します。
AgroBox No.2 サービス内容
基本Box(96条件)【1box単位必要】
96条件の結晶化溶液マトリックス溶液を調製し、一連の条件最適化を行います。
追加Box A(96条件追加)【0.5box単位必要】
追加で1プレート分(96条件)の結晶化溶液マトリックス溶液を追加することも可能です。
本サービスでは、結晶化プレート1枚(96条件)あたり、最大で20種の結晶の品質チェックを行います。
ご用意いただくもの:
・タンパク質溶液(5 mg/ml以上推奨)各Box 25 μL 必要
納品物:
・レポート
結晶観察の結果:結晶が生成したドロップの写真データ
結晶品質チェック:X線回折写真およびオリジナルデータ